【キクイモ】
学名:Helianthus tuberosus
キク科
原産:北アメリカ
使う部位:塊茎
近年、健康食品として
注目されている菊芋。
生ならシャキシャキ、
火を通せばトロトロに。
この食感の振り幅の大きさも
楽しみを増やしてくれます。
そして注目したいのが
お通じ改善や血糖調節などの機能。
ハーブではありませんが
ハーブにも似た働きが期待できる
不思議な芋についてまとめました。
Contents
実はゴボウの仲間
菊芋はその名のように、キク科ヒマワリ属の多年草の根っこにできます。そういえば、花はどこかヒマワリに似ていませんか?
里芋のような形から「芋」と呼ばれますが、サトイモ科の里芋とも、ナス科のジャガイモとも別のグループの根菜です。デンプンはほとんど含みません。低糖質・低カロリーの、ダイエッターの味方。そこがジャガイモとの大きな違いです。
菊芋は、同じキク科で言えばゴボウの仲間です。それだけでも、なんとなくお腹に良さそうですね。
菊芋には白菊芋と赤菊芋があり、日本でよく見かけるのは白い方。赤菊芋はフランス原産で、白菊芋より食物繊維を多く含んでいます。
収穫は10月末から。主に晩秋から早春にかけて流通しますが、一般的なスーパーにはあまり出回らないようです。我が家では夫が郊外店や道の駅などで発見した時に購入しています。
味と食感は?
優しい甘味があります。皮をつけたまま調理すると、ゴボウに似た、そこはかとない土の香りも。生や軽く火を通した程度なら、レンコンに似たシャキシャキ感が楽しいです。
しっかり火を通すとホクホクしてきます。加熱しすぎると、口の中でカスタードクリームがあふれるようにトロリと溶けます。火傷に要注意です。
食物繊維「イヌリン」たっぷりの健康食品!
近年菊芋が注目を浴びているのは、食物繊維の一種「イヌリン」を豊富に含んでいるためです。
食物繊維とは、小腸では消化・吸収されずに大腸まで達する食品成分のこと。栄養として吸収されないため、かつてはあまり重視されませんでしたが、現在ではさまざまな機能が知られています。
「繊維」という言葉からスジっぽいものを想像しがちですが、スジ系、サラサラ系、ネバネバ系など、いろいろな種類があります。これらは水溶性と不溶性に分けられ、イヌリンは水溶性食物繊維とされています(不溶性食物繊維に分類している書籍等もあります)。
食物繊維でお通じ改善
ここで食物繊維全般に期待できる、お通じ改善の働きをまとめておきます。
水溶性食物繊維
水に溶けやすく、水に溶けるとゼリー状になり、便をやわらかくします。
菊芋・ゴボウなどに含まれるイヌリン、果物の皮や野菜などに含まれるペクチン(ジャムを固めるときにも使う、いわゆる増粘多糖類)、海藻類のぬめり成分アルギン酸、こんにゃくのグルコマンナンなどがそうです。
不溶性食物繊維
文字通り、水に溶けにくい食物繊維のこと。保水性に富み、水分を含むとカサが増します。つまり便のカサが増して、腸のぜん動運動を促します。
穀物や豆に含まれるセルロース、大根・ニンジンなどに含まれるリグニン、エビ・カニなどの殻に含まれるキチンなどがそうです。キノコ類も不溶性食物繊維をたくさん含みます。
イヌリンの3つの働き
食物繊維が小腸で分解されずに大腸まで届き、せっせと腸内の掃除をしながら便通を改善してくれるところは、ざっくりイメージしやすいですね。食物繊維のさらにありがたいところは、腸内環境も整えてくれる点です。
特にイヌリンには、主に次の3つの働きがあると言われています。
腸内環境の改善
イヌリンは、主に大腸に棲むビフィズス菌のエサになります。これによって腸内フローラ(腸内細菌叢)の状態が改善され、整腸作用が期待できると考えられています。
特にイヌリンなど水溶性食物繊維の大半や不溶性食物繊維の一部は、最近「発酵性食物繊維」と呼ばれています。大腸にいるビフィズス菌などの善玉菌がこれらの食物繊維を発酵することで「短鎖脂肪酸」という成分が生まれ、これが大腸の粘膜強化に働いたり、腸内を弱酸性に傾かせて悪玉菌を減らしたりします。また短鎖脂肪酸は全身の細胞のエネルギー源になる他、免疫反応とも関係があると考えられています。
近年話題の「腸活」に、もってこいの成分ですね。腸内にいる善玉菌にしっかり働いてもらうためには、イヌリンなどの好物を与えましょうというわけです。
血糖調節
イヌリンなどの発酵性食物繊維が善玉菌に食べられることで生まれる短鎖脂肪酸には、大腸を刺激してインスリン生産を促し、血糖値の上昇を抑える働きがあると考えられています。菊芋が「天然のインスリン」と呼ばれるのは、このためです。
中性脂肪のコントロール
イヌリンは一緒に摂った食品とからみ合って、これらが胃にとどまる時間を引き延ばし、その後の食欲を抑えます。
また、イヌリンなどがエサになることで生まれる短鎖脂肪酸は、内臓から脳へ情報を伝える神経にダイレクトに働きかけ、食欲中枢に作用して満腹感をつくり出していることが、2018年、京都府立大学の研究チームから報告されています。
これらの機能がトータルに作用して、イヌリンは血中の中性脂肪の低下に関係しているのではと考えられています。
イヌリンは「プレバイオティクス」
ヒトや動物の体にとって良い働きをする生きた微生物、またはそれらを含む食品を、「プロバイオティクス」といいます。乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌、それらを含むヨーグルトなどの食品、納豆、漬物、キムチなどがそうです。
これに対し、プロバイオティクスのエサとなり、善玉菌だけを増やして腸内環境を改善し、体の健康に良い影響を与える物質を「プレバイオティクス」と呼びます。小腸で消化されにくいオリゴ糖や、一部の食物繊維などがそうです。
イヌリンもプレバイオティクスとして認められています。「プロ-」と「プレ-」をセットで活用し、腸内環境を改善しましょう!
菊芋の食べ方
菊芋は皮付きのまま調理すると、ゴボウのような風味が楽しめます。加熱が進むと、口の中でカスタードクリームのようにトロ〜リと溶けるので、火傷に注意してくださいね。
揚げ物…ひと口大に切って素揚げするか、軽く片栗粉をまぶして唐揚げにして、塩をひと振り。竹串がスッと通る前に引き揚げるとホクホクになります。さらに加熱すると、トロトロに。千切りにして、かき揚げにしてもいいですね。
きんぴら…他の野菜やお揚げなどと一緒に、甘辛い味付けで。菊芋は最後に軽く炒めて、シャキシャキ感を残します。
菊芋チップス…薄くスライスしてさっと素揚げすれば、健康おやつの完成。
煮物…お肉と一緒に、肉じゃがや筑前煮感覚で。
サラダ…生のままスライスして、他の野菜と和えます。シャキシャキ感と甘味が楽しめます。
その他…味噌汁、炊き込みご飯、グラタンなど。
菊芋は生はもちろん、粉末、エキス、サプリメントなどとしても通販で簡単に購入できます。粉末はお茶として飲んだり、料理に混ぜて使ったり。味噌漬けや粕漬けも販売されているようです。
ただし大量に食べすぎると、お腹が緩くなったりお腹が張ったりするので注意が必要です(経験済み)。何より、他の食品と一緒にバランスよく食べるのが一番です。
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